御挨拶
宗家挨拶
天然理心流 宗家道統九代
宮川 清蔵
私が、宗家道統八代 加藤伊助先生から天然理心流の宗家道統を受け継いで、すでに十数年になりますが、今日ほど天然理心流を学びたいと希望する人が多かったことはありませんでした。これも、NHKの大河ドラマ「新選組 ! 」の放映によるものと思います。
天然理心流は、他の流派とは若干異なる状況に置かれております。と言いますのは、他の流派では武術として興味を持ち修業したいと思って来る人が多いのですが、天然理心流では、純粋に武術として学びたいと思って来る人がいる一方、新選組ファンや歴史研究家の中で、その興味の延長として天然理心流も研究する人が出る状況があります。
興味半分で天然理心流を研究している人達は、本当の技を知らないが為に技を創作する結果となり、無論そういった人達が称している天然理心流は、本当の天然理心流とはかけ離れたものであります。
しかしながら、天然理心流を名乗り、創作した技を演武する団体が出ていることは、宗家道統九代である私にも責任の一端があると反省しております。
そこで、私は真に天然理心流を学びたいという人に対し、その場を提供する責務があると考え稽古の場を設け、また先人の残した天然理心流を広く公開し、正しく世に伝えるべき時が来たと思い、このホームページを開設いたしました。
現在、天然理心流を継承する流れには2つあり、そのひとつは私自身の系統で、初代近藤内蔵之助、二代近藤三助、三代近藤周斎、四代近藤勇、五代近藤勇五郎、六代桜井金八、七代近藤新吉、八代加藤伊助、そして私、九代宮川清蔵と続く系統であり、これが宗家道統の流れであります。
私の宗家道統の流れでは、残念ながら八代加藤伊助先生が表木刀の形5本とこじり捌の形1本の計6本の技しか伝承がなく、また伝書もありませんでした。そこで、松崎正作・井上才市の系統であり天然理心流のすべての技を継承している天然理心流心武館の四代目館長大塚篤氏より陰橈の技七本を、私と平井泰輔兄弟に指導伝授して頂き、技の多様化を図ることができました。
また、伝書につきましても、心武館に伝わる伝書の中から中極意伝書の写しを大塚先生から八代加藤伊助先生に提供していただく等、道統一門の充実強化を図ってまいりました。
なお八代加藤伊助先生が昭和50年頃、神社に奉納されている奉納額に納められた木刀の寸法を写した太木刀を導入し、大いに当流の発展に貢献され、今日では当流の看板的なものとなっております。
当流のもう一つの流れとは、二代宗家近藤三助の高弟である松崎正作から息子の松崎和多五郎、心武館を興した井上才市、心武館二代井上昌作、心武館三代井上義雄、心武館四代大塚篤へと続く系統であります。
この流れは、明治大正昭和の厳しい時代の変遷の中で、心武館 ( 井上家 ) が強い決意をもって天然理心流のすべての技130本余りを完全に継承し、また体系的指導システムをも残しておりました。
心武館と道統一門とは関係が深く、五代近藤勇五郎と心武館初代井上才市の関わりに始まり、八代加藤伊助と心武館二代井上昌作との関わりがあり、また私と心武館四代大塚篤氏との関わり等、縁深いものがあります。
この度、私が宗家道統九代として、当流の正しき継承発展の為、心武館四代大塚篤氏に対し心武館に伝わる技の指導をお願いし、当流の筆頭師範就任を要請したところ快く承諾いただくことができました。
今後は、道統一門に伝わった技6本と心武館に伝わった技130本をもって後進の育成指導に尽力する所存であります。
心武館館長挨拶
天然理心流 筆頭師範
天然理心流 心武館 四代館長
大塚 篤
この度、宗家道統九代宮川清蔵氏から天然理心流筆頭師範として心武館に伝わる130本余の技の指導を要請され、心武館の親族 ( 井上家 ) で協議したところ、技は継承するもので公開するものではないことから、技を出すべきではないとの考え方でありましたが、心武館の名において指導するのであれば、広く指導し後継者の育成を図ることも必要ではないかとの結論に達しました。
心武館代々にわたり、あきる野市二宮において120年間守り続けた技であり、指導する以上は正確に指導したいと考えております。
指導は、切紙の技、序目録の技、中極意目録の技、免許の技と、古式にのっとり、順を追って指導してまいります。
なお、宗家道統一門で使用している太木刀は、心武館では伝承がなく、稽古を含め使用いたしておりません。心武館で使用する木刀の太さは、一般的な木刀とほぼ同じで、長さは身長に合わせて決めています。
今後、宮川宗家に協力して天然理心流を発展させ、当流を学びたいという皆様と、正しく楽しく稽古できれば幸いであります。
追記
天然理心流を田舎剣法であるとか、素朴あるいは朴訥な剣法であるが如く言う人も居ますが、それは天然理心流の技と真髄を理解していない人が言っていることであり、剣法においては田舎も都会もなく、素朴も朴訥もないのであり、流祖が勝つために心血をそそいで創意工夫を重ねたものであり、あるのは武術としての不敗の神髄であります。
そして、免許の技に到達した時に天然理心流の真髄も意味が悟れるものになっています。この悟りを得た者が「天然理心の人」となるのであります。
是非皆さんも「天然理心の人」になるまで修業に励んでください。